ねこツク、さくら。 感想

ゲーム感想

どうも、カナジシキです。

今回はねこツク、さくら。感想を書いていきます。

以下、ねこツク、さくら。の重大なネタバレを含みますので嫌な方はブラウザバックをお願いします。

概論

本作は学園の幽霊、学園での生活、という本作のテーマを共通ルートを含む各ルート全てで行うことができており、大変面白い作品でした。

詳しくはキャラクターの各論で行いますが、特にキャラクター紹介だけでは、幽霊との関係性が薄く感じられる、恋花と弥生のルートでも幽霊に関する物語が展開されたのは良かったです。

しかし、アキとツキ2人に関する確信をつくような物語が展開されなかったのは少々もったいなく感じました。

また、ルート終盤では主人公とヒロイン達からなる文乃係の絆が程度の違いはあれど、どのルートでも見られて良かったです。

このため、本作はテーマとして幽霊という要素を持ちながら、学園という壁と文乃係の友情があげられる大変よく出来た作品でした。

楽曲について

OPソングGet the Freedom

本作のメインテーマとなる学園に閉じ込め出られないこと、そして、一歩飛び出して学園の外へ出て行き恋が始まることが伝わる良い曲でした。

特にこの流れが共通ルート→各ルートの流れに合わさり、プレイ前に聴いたOPムービー時点では作品への楽しみが湧き上がり、プレイ後に聴くことにより作品を思い出せました。

EDソング月と太陽

本曲では学園の外だけでなく、各ルートでの経験を経て外へと向かうヒロインと主人公を太陽、文乃係で培った絆を月で表しており、本作のシナリオはどれものこの形であるため、EDで流れる度にヒロインとの思い出が歌詞と共に染み渡りました。

共通ルートについて

共通ルートは思っていた以上に長く、アキ(文乃)とツキルートでは学園から出ることを中心に物語が展開されるのかなと予想していたので、共通ルートのラストで学園を出ることには驚きました。

しかし、共通ルートの内に2人が外に出るという当初の目的を達したことにより各ルートではアキとツキの地縛霊としての意味合いや弥生と恋花のルートでも学園に宗真がいなければならなくなる意味あいが増して良かったです。

そして、何よりこの共通ルートが長いことにより各ルート終盤での文乃係の絆に意味が持てて良かったです。

キャラクターについて

主人公について

大槻宗真

標準的な主人公キャラクターでした、目立って良いところはありはしませんでしたが、その分悪目立ちもしていなかったので共感度が高く良かったです。

仕方ないことではあるのですが、あえて言うなら宗真に親友キャラがいないせいで恋花が可愛そうな気がする部分が、恋花ルート以外での入りはありましたが…

サブキャラクター

久慈律

学園長として、教師として、恋花の祖母として、どれにおいても本当に魅力的なキャラクターでした。

また、老けたヒロインは見たくないという話はありますが、律の存在により本作と世界観を共有する新作が出るならば学園長になった恋花が見たいと思いました。

ヒロインについて

攻略順に書いて行きます。

上路弥生

ミーハーでない、昔ながらのオタク気質の女子であり、自分もそういう所があるので共感できるキャラクターでした。

ルートとしては好きなものと得意なことは違うということを霊感で行なっていたストーリーは面白く、好きなものを捨てて人生を選ぶ理由はそれ以上に好きなものであることや最終的に研究者となることは初志貫徹したオタクであると感じ好感が持てました。

また、壁と友情の関係に関しては学園を出られなくなる理由が霊感を得たからというのは前述と同様にそう来るか、という感じでした。そして、ラストの湖での文乃係の奮闘のわちゃわちゃ感が本作の友人(ヒロイン)達との関係を表していて良かったです。

久慈恋花

学園長の孫であり、自身の性格からも学園内で姉さんと言われながら、本当は恋に一途で幽霊を怖がる乙女な彼女が可愛かったです。

ルートとしては学園長の孫として次期学園長となるためのスタンダードな物語が展開されるわけですが、その中でも本作の特徴としての幽霊が絡む姿は良かったです。

また、壁と友情に関しては学園(久慈家)に居候する理由が宗真の怪我であり、少々強引には感じましたが、本ルートでもこのようなストーリー構成をとることで本作のテーマが明確になったように思えます。友情の面に関しては本ルートそのものでは文乃と弥生の手助けは要素程度でしたが、他ルートでむしろこの友情に関する事項を牽引するのが恋花であったといえます。しかし、その分恋花は最初から宗真に対して好意があるため、少し彼女の扱いに関してはやるせなさを感じました。

ツキ

学園で神と祭られる、双子の猫の幽霊のしっかり者の妹であり、姉に対してしっかりものでありながら、容姿はロリ巨乳というキャラクター性がまず可愛く、そのしっかりものという要素が猫でなく現在の知識が多分にあるため、ムッツリのように見えるのが可愛いかったです。

ルートとしては本作のテーマとしてあげている壁と友情がよく伝わるストーリーとなっていました。まず、壁に関しては地縛霊である彼女が学園から離れるということがわかりやすく描かれていました。そして、友情に関しては本ルートラストでの文乃係がツキを思い出すシーンは本作屈指の名シーンであったと言えます。

アキと文乃

アキ

学園で神と祭られる、双子の猫の幽霊のお調子者の姉であり、本作での事件のきっかけを作った張本人です。自分勝手でウザカワの部類に入る彼女ですが、それが猫感がありました。そんな彼女だからこそ時々垣間見える、学園や文乃、文乃係のみんなについて考えていることがどのルートでも良かったです。

穂高文乃

アキに取り憑かれたぼっち気質の読書バカ、読書に関してはある意味で弥生以上のオタク気質の彼女がとにかく可愛かったです。さらに天然。また、アキに取り憑かれてから素が出るように変わっていく彼女の姿はどのルートでも見えてきて良かったです。

本作では一番好きです。

ルートに関してはこちらもツキルート同様に壁と友情はわかりやすく、その中で壁に当たる点には成仏があったのは幽霊ものとして良かったです。また、友情の面はアキと文乃についてがより詳しく表現されていますが、その中でも恋花のちゃかしや弥生のフォローが良かったです。

ただ、この点のこのルートは恋花の負けヒロイン感が強いことやツキの姉が成仏することへの思いが描ききれていなかったようにも思います。

しかし、付き合う前の文乃の悩みがアキと一緒になってしまうことへの苦悩であったのに対して、最終的には受け入れることを選択する流れや、ツキルートでツキが愛するものと一緒になることは嫌がったこととアキと文乃の対比など文学的な対比や流れには読み応えのあるルートでした。

ルート選びのフィードバック

予想通り、ツキとアキ(文乃)のストーリーの方が本作のメインテーマに沿ったルートであったため良い選び方だったと思います。

特に文乃・ツキルートを最後に持ってくることにより、本ルートラストでは久慈学園の歴史と双子の神様の伝説が再度語られるので良い締めとなりました。

ただ、ツキルートをラストに行った方が文乃係との友人について感じられたのではないか、恋花ルートをラストにした方が彼女へのやるせなさは少なかったのではないか、とも思いました。

イベントシーンについて

本作のイベントシーンはキャラクター性を生かした嗜好の凝らされたものが多く、大変実用性に富んでいたと思います。

特に弥生とのオカルトを活かした縛り

恋花との家庭的なものや学園長の孫との学園での火遊び

文乃との読書中の集中を活かしたものや読書からの知識を活かしたものが良かったです。

また、猫を活かしたものも多く、尻尾や耳だけでなく、マタタビやキウイでの酔いというのも一興でした。

加えて、作品のテーマである幽霊に即した祭りごととしての要素も表現されていて趣がありました。

総論

本作はテーマとして幽霊という要素を持ちながら

学園という壁と文乃係の友情があげられる大変よく出来た作品でした。

自分はここ数年で発売されたLump of Sugar作品はプレイ出来ずにいたのですが、本当に本作をやれて良かったです。

追記)買いました!

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