アニメにおける主人公について

雑論

どうも、カナジシキです。

今回はプリコネRの主人公通称騎士くんが新しいタイプの主人公だと言われていることや男女共同参画社会をもとにした家事をやる主人公、また、嫌われ始めるイキリ系主人公や指揮官型主人公についてなど、現在のアニメやゲーム、漫画、ラノベで登場する主人公について考えていることを何となく書いていきます。

きちんとした資料をもとに調べて書いているわけではないので、その点ご了承ください。

読者対象と主人公

本来、物語の主人公というのはその物語の想定した対象と似た年齢や職業の人物を主人公として添えることが多いです。

これは主人公に読者が共感しやすくするためのものです。この共感というものは作者にとって、読書に読み取らせたい感情の機微をより伝えやすくするものです。そのため、読者はこの機微の変化によりカタルシスが得られやすくなるわけです。

この対象の読者(視聴者)というのをアニメ等に対応すると、昼アニメでは対象が小中学生であるため、主人公が小中学生なのは当たり前ですし、おもちゃ(カードゲームを含む)の販促も放映理由にある作品で有れば尚更です。

また、深夜アニメでも原作の主が少年漫画やティーン向けと言われるライトノベルが中心であるた対象が10代であるものが多いのは確かです。

(作品のキャラになりきる意味合いもあるハードボイルド系や設定として笑いのネタのために主人公を作るギャグ漫画は例外)

深夜アニメの例外性

少年漫画やライトノベルが10代ないし学生向けであるのは確かではありますが、深夜アニメの対象年齢が本当に10代なのであるかと言えば答えは否です。

それは、深夜に放送している時点で本来昼間に健全に活動しているはずの学生を対象にしているとは考えづらく、録画するにしても親との忖度を介するわけですから、本放送の時間帯が本来なら10代を対象にしているわけは無いのです。

ただ、これは前時代的な考え方であるのも実であり、現在ではネット配信もありますし、アニメ文化に対しても寛容になっています。このため、深夜番組枠である深夜アニメが10代を対象にしていないとは言い切れません。しかし、先程の昼アニメがおもちゃという利益をもとに放映されていることを考えれば深夜アニメの利益は円盤や関連グッズになります。この利益をもたらしやすいのは20代以上です。

よって、深夜アニメは

原作の対象年齢が10代

なのに対して

アニメそのものの対象年齢は20代以上ということが生じます。

加えて、アニメではこの「原作」ということに深く理解が有れば問題ないことなのですが、原作にはアニメオリジナル、少年漫画、青年漫画、大版4コマ、少女漫画、エロゲ、ギャルゲ、ソシャゲ、乙女ゲー、青年向けラノベ、少女向けラノベと少しあげただけでも限り無くこの対象年齢は本来違います。

しかし、私達はアニメという一つという大枠に入れて考えてしまいます。もちろん、男性向けか女性向けかは区切りをつけていても、年甲斐もなく対象年齢外の作品を見ているということを踏まえずに論じてしまう危険性があるわけです。

そして、これがこれから考える様々な主人公のパターンを作り出したのだと念頭に置いておいて下さい。

歴史的背景

先ほどまで説明した対象年齢に近い主人公という形は大昔に遡っても藤子不二雄先生の作品の主人公達が小学生がおおいこと巨悪と戦うロボットアニメの主人公達も小中学生であったということからわかります。

逆にガンダムと言った青年を主体にして戦争を描いたアニメやそれからのちに中学生の主人公だけでなく時世であったアダルトチルドレンを描いたエヴァンゲリオンなど、そういった一見対象は子供なのに子供以外も楽しめるアニメの方が時代に名前を残しているというのも背景としては面白いことです。

ハーレムテンプレートな主人公

エロゲ編

先ほどまで、主人公は対象と年齢や職業に近いものにすることが多いということを述べてきましました。その中でアニメでも少年漫画やライトノベルの例はその傾向が多いのはわかるはずです。

ただ、現在のアニメ文化からさかのぼり萌を中心としていた1990年代終盤〜2000年代初頭のアニメオタク文化の中では、この対象と近いものにしないのは当たり前のことでした。

何故、そう言えるかと言えばこの文化の中心にはエロゲがあったからです。

このジャンルにおいてはこの頃まだ法令が緩かったとはいえ対象は18歳以上です。しかし、作品の中で登場キャラクターは設定上は18以上としてあっても、対象者との共感により作品のカタルシスを与えようとした作品ではありません。

ただ、それでも主人公と共感出来るようにするために

普通 無気力 少しオタク気質 変態性あり と言った没個性を作り共感させて

何故かモテる理由を

優しいさ 勇気 一芸

に起因させるテンプレートが生まれました。

ギャルゲ編

同じく1990年代終盤〜2000年代初頭に同じく美少女ゲーム全盛期、一般人をオタクたらしめたきっかけに多くのギャルゲーも存在しました。

こちらでも、先程のテンプレートに沿った主人公も存在したわけですが、一般を取り込める良い作品を作るためには、良い主人公を作る必要がありました。

ここで出てきたのが先程紹介したロボット向け主人公に適応していた熱血系主人公との融合です。

これにより、問題を抱えた主人公が少女達を指揮しながらその少女達が成長するとともに、主人公も成長していくという一つの構文が生まれました。

そして、この形式は主人公を良いキャラクターとして作れば青春文学として成り立ち

キャラクターを薄くすれば読者は擬似体験しやすくなるため

先程のテンプレート主人公にも集約されていったわけです。

ラノベ編

この主人公形態はライトノベルの主人公へも投影されていき、ゲームといった擬似体験型のストーリーだけでなく、物語文の主人公としても確立されていき、一つのハーレムテンプレートとして完成されました。

また、2000年代後半〜アニメ演出の広がりや声優の技により主人公の一人語りが多くともワンクールアニメが成り立つということよりさらに顕著になっていきます。

なろう系主人公

それからさらに時は流れ、ライトノベルでこのテンプレートが確立された後に再度読者との共感を図ろうとした主人公が生まれます。

それは ニート 社畜 といった、設定を用いており、

元の人生からは話が広げられないため、異世界転生をして自身の強さを発揮するといったタイプの主人公となります。

これは自身の強さを発揮するといった点は元のテンプレート通りであり、それに共感出来る設定を加えているわけです。

そして、この文化が生じたのが2010年代の投稿型小説であることからして、ネットの意見を直に取り入れた形で発展したハーレムテンプレート型主人公の一つの最終形な訳です。

テンプレート型主人公への嫌悪感

ただ、この裏でテンプレート型主人公に嫌悪感を生じるようにもなります。

その一つがモテすぎることにあります。先程から述べているように共感できる、もしくは良いキャラであることが前提に有ればさほどここに嫌悪感を抱くことはありません。しかし、共感出来る主人公、良い主人公をそう簡単に作れるわけではありません。

よって、無意味にモテる変態

が生まれてしまい、それに嫌悪感を生じるのは当たり前です。

また、先程あげたなろう系の主人公においても主人公の性質をうまく利用しなければ

陰気なイキったキモい奴です。

それがモテればなおさら気持ち悪いのは当たり前です。

ただ、この問題点は本来の対象読者で有れば共感になることなので問題無いのですが、アニメ化されたことにより大衆には受け入れられないということが多いわけです。

恋愛対象から外す

そこで生み出された方法の一つが主人公を大人や子どもと言った女性から年齢を離すという方法です。

これにより、主人公の個性を消すことができるため、体感型のゲームにおいては共感度は上がります。加えて、アニメになっても主人公がどんなにモテようとも視聴者からすれば、ただ好かれているだけでそれ以上にならないため嫌悪感は感じません。

つまりはプロデューサーといった形は

ゲームでは共感でき

アニメでは無害

同人では竿

と都合の良い主人公になるのです。

そして、騎士くんというのは

没個性としての共感だけで無く、見た目は高校生なため10代の共感が得られ

中身は子供なため不快感が無く

なおかつ、ストーリー上での成長も望める

いわば、最適解なわけです。

同性だけの世界

もう1つの方法は主人公を作らないという方法です。これは主演という主観たる存在の主人公は置いたとしても、これまで説明してきた「主人公」は居ないわけです。

つまり、気持ちの悪い異性はその世界観に入れないという手法です。

そうであってもキャラクターの魅力というものは描けますし、ストーリーとして頑張る姿を描くのに異性の存在はいりません。

また、恋愛模様を読者が読み取りたいので有れば勝手に同性愛を読み取りますので問題ないのです。

これは勝手に読みとっているだけの作品とそれを意図した作品が存在することは注意するべきです。

今だからわかる好感度の高い主人公

ただこれらは、大量のキャラがいることや多くのメディアミックスができてキャラクターの深掘りが行いやすいこと、そのことが前提の雑誌に掲載されていることによりできる手法です。

このため、文学的に主人公に意味が生じる、男女の恋愛要素や男女だからこそ生じる成長が必要な場合はこの手法は使うことができません。よって近年生じたはずのなろう系主人公に対しても辛辣な場合が見受けられるのです。

そして、結局のところ魅力的な主人公を作らなければならなくなっているわけです。

これまでテンプレートとされていた、

無気力なことにも意味を持たせるべきなのです。

普通の主人公よりちょっとかっこいいくらいの方がモテる理由になって良いのです。

妹が可愛ければ兄が美形なのも当たり前なのです。

家事ができるくらいの方がモテる理由になっていいし、一人暮らしなら普通はできます。

女嫌いも姉にいじめられたからだけじゃ弱いです。

変態嗜好も前後の描写に合わせて行わなければただの犯罪です。

そんな感じで、テンプレートにも意味付けをしなければ、作品の魅力にならない時代となっているのです。

まとめ

そんなわけで今回は主人公について見ていきました。

今回これを書かせてもらった理由としては、冒頭でも述べたように

プリコネRの主人公が新しいと言われており流行りそうということについてちょっと書きたかった

女キャラクターしか登場しない作品に対する考え方

最近、ADVをやると主人公への感じ方が違うこと

何かをまとめておきたかったので書かせてもらいました。

まあ、正直テンプレとして多いとか、流行りがそうだった、てだけで実際はいろんな主人公がいるわけですが…

みなさんの考え方の足しになれば幸いです。

タイトルとURLをコピーしました