D.C.4 二乃√エンディング後SS 第0章第5話

第0章 新しい春 

第5話 二乃の帰宅

3月15日

それからの1ヶ月、俺は二乃の帰りを祝う準備やバイトだけでなく、卒業式での依頼も入ったため大変忙しく過ごした。

そして、ついにこの日がやって来た。

終業式も終わり仲間達に後を託した、俺は二乃を迎えに来た。

学園前のバス停では恥ずかしいと理由をつけ、待ち合わせ場所にした本島からこちらに着く最初のバス停を待ち合わせ場所にしていた。

(バスの発着時間には間に合ったな、とりあえず、皆んなにも連絡入れておくか)

俺はそんなことを考えながら、数分待っていると二乃が乗っているバスがバス停に到着した。

バスからほとんどの荷物は郵送したためそこまでの大荷物というわけではないが、大きめの鞄を持った二乃が降りてくる。

俺は二乃を見つけて

「お帰り、二乃」

そう声をかける。

二乃も俺を見つけて

「ただいま、兄さん」

と返し、そして俺に抱きかかる。

俺はそれに対して抱き返し、そっと頭を撫でてやった。

その後、上目遣いで二乃は何か求めるような顔をする。

察した、俺はそれを見て

「荷物持つぞ」

と素っ気なく言った。

俺の身体から離れた、二乃はその行動に文句があるようで

「いやいや、兄さん。それは兄としては正しいのですが…チュッ、るる…ぷはぁ…」

俺は二乃の言葉を遮るようにして、二乃の唇を塞いだ。

「兄さん//」

俺は内心恥ずかしい気持ちはあるものの、再び素っ気なく

「間違ってたか?」

とそう聞いた。

「いや、間違ってないんですけど…」

面食らった、二乃はそう答える。

「じゃあ、帰るか」

俺は二乃の荷物を手に取り、歩き始めると二乃も付いてくる。

二乃は話したいことがいっぱいあるのだろう、俺もその気持ちは変わらないのだが、それを

「帰ったら、いくらでも聞くから」

と諫めて、二人で帰路へ向かった。

「あれ、兄さんこっちなんですか?」

二乃は疑問を俺にぶつけてくる。

それもそのはず、俺は『俺たちの家』ではなく、『実家』の玄関へと向かったからだ。

俺は

「まあ、いいから」

そう言い、鍵を開け二乃を家の中へと導く。すると、

-パーン、パーン-とクラッカーが鳴り

各々の

「「おかえりなさい」」

が聞こえてくる。

それを聞いた二乃は

「皆さん、ありがとうございます」

そう答える。

そして、俺も改めて二乃に

「おかえりなさい、二乃」

そう告げた。

それから二乃のお帰りなさい会は恙無く進んだ。

俺と詩名の連弾、俺からのワンダーランド1日パスポートのプレゼント、そして、二乃が恋パで見ることができなかった女装といった感じだ。

各々話は尽きない中ではあったが、とりあえず、今日は御開きとなった。

その後の片付けの最中そら姉は二乃に対して言う。

「二乃ちゃん主役なんだから片付け手伝わなくてもいいのに」

俺も加えて

「ある程度皆んながやっててくれたから、後は俺とそら姉でなんとかなるしな」

そう言う。

「いえ、なんかこういうの久しぶりなんで手伝いたいんです」

二乃はそう言って部屋の片付けを再開した。

その後、二乃はふと

「でも、なんだかみんな仲良くなりましたよね」

と言う。

俺は二乃がいなかった1年間の空白に寂しさを感じたのかと思い、優しく

「1年も経てばな」

と答える。

そんな俺の態度に気がついた二乃は取り繕うように話し出す。

「いえ、違うんです。兄さん、別に私がいなかった間に色々変わって寂しいとかじゃ無いんです。最悪、兄さんだけいれば私は構わないですし…」

そら姉は後ろで何やら「あらあら」などと言っていおり、二乃の声は最後の方、小声であったが、本気でそういう寂しさで言ったわけではなさそうだ。

続けて二乃が話し出す。

「私は確かに、1年間こっちにいなかったですけど、居た頃よりもみんなと仲良くなった気がするんです。例えば、白河さんとは兄さんの監視をお願いしていたのもあって、話すようになりましたし」

途中は聞かなかったことにしたが、確かに俺も白河とは恋愛請負人を辞めたこともあり、共にSSRで活動していたため仲良くなったと思う。それに

「美嶋とも仲良くなったな」

その言葉に二乃は一瞬怪訝な顔はしたが

「ですです」

と答える。

二乃は続けて

「後、不思議なんですけど兄さんと鳳城さんが一緒にいても、なんとも思わないんですよね。彼女としては彼氏が他の女子と肩を合わせて連弾なんてしてたら、普通は嫉妬すると思うんですけど、むしろ、微笑ましいていうか」

そら姉も共感するよに

「それ、わかるわ。なんだか、いっちゃんと鳳城さんがいるとなんだか心があったまるのよね」

俺にはよくわからないが、普段はつんけんしている詩名だが、彼女にはそういったみんなを和ませる才能があるのだろう。

そして、二乃は少しためるようにそら姉を見て

「そら姉も」

と言う。

それには俺も共感して

「確かに、長年一緒にいたのにあんなこと隠してたんだもんな」

と答える。

照れた、そら姉は

「もう、それは言わないでよ」

そう、言う。

一年前、二乃との色々が解決した後、俺たち2人が魔法に関わるならと言いそら姉は隠していたことを全て教えてくれた。

ジジイとそら姉の関係や自分が人では無いということ、過去に何があったかの全てをだ。

ただ、俺たちにとってそら姉がそら姉なことは何も変わらない、それが俺たちの考えだった。

そして、そら姉が今でも俺たちを見守ってくれていることは変わらない。

俺は二乃の言うみんなのことを理解し、口走る

「これからも一緒に仲良くなって行こう」

と、そして、改めて俺は言う

「おかえり、二乃」

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