D.C.4 二乃√エンディング後SS 第0章第4話常坂一登はわかりやすい

第0章 新しい春 

第4話 常坂一登はわかりやすい

それから、俺は授業中ずっと二乃のことを考えていた。昨日見た夢のことももちろん頭の隅にはあったのだが、それ以上に帰ってくる二乃をどうにか祝ってやれないかということが一番大きかった。

時間は流れて放課後、屋上にいつもの面々が集まっていた。

昨日打ち上げはしたものの、反省会はしていなかったため今年の恋パでの活動についてのフィードバックをしようというものだ。

「みんな集まったみたいだな」

俺はみんなの顔を見合わせてアイコンタクトをとった。

「じゃあ、何かあれば」

と俺は一言かける。

そうすると美嶋から手が上がる。

「常坂先輩良いですか?」

俺は軽くうなずく

「えーと、今回の恋パの運営には私は風紀委員として関わらせてもらったわけですけど、もう少し私達風紀委員への負担を減らせてもらえると助かります。私としては皆さんには恩があるんで精一杯協力したいのですが、他の風紀委員から少し言われてしまったので…。」

美嶋が話し終わると続いて、白河が話し始める。

「確かに、今回未羽達には迷惑をかけてしまったね。去年は付属の生徒が中心で参加だったからよかったんだけど、今回は学園全体を巻き込んでしまったからね。それにクリスマスや文化祭のときにも言われていたことだし、私としても風紀委員に手間をかけるというのは不本意だからね。」

他の面々もうなずいて聞いている。

特に杉並は深くうなずいており、風紀委員の手を借りるというのはやはり不本意なのだろう。

「今具体案を出すことは出来ないけど、次に何かやるときは、もう少し深く考えないとな」

俺は今回の教訓を噛み締めるようにそう返した。

次の話し合いに移ると白河から手が上がる。

「常坂兄を使って引っ掻き回したおかげでそこまでの不満は無いみたいなんだけど、やっぱり今回ミスコンの上位が身内だったことについて文句言われないかな」

白河はミスコンの結果の事後処理について疑問を投げかけた。

続けて、ちょこが

「そうですね。白河先輩の言うように私が取材した人の中にも不満の声はありましたね。基本は先輩達の票が無効になったことについてみたいなんで、そこは昨日の杉並先輩からの説明で大丈夫だとは思うんですけど、私達意外に参加してくれた女の子達にはちゃんとフォローをしておいた方がいいかもですね。」

と付け加える。

俺はうなずき

「今回のことは昨日の杉並の説明を公式の見解として周知してもらった方が良いな」

と返す。

俺がフォローの方について話し出そうとすると、叶方が

「今回参加してくれた女の子達てみんな俺達の誘いを受けてくれた子達だし、フォローは友人同士でやった方が良いのかな」

と言ってくれた。

もっとも、今回の参加を促してくれて色々なことに気をかけてくれた叶方からの一言に俺は助けられた。

その後、俺は気になっていたことについて聞いてみることにした。

「今回の恋パも一年前と同じでバレンタインに有里栖が大変にならないようにするためて意味もあったんだけどそっちはどうだった」

俺はそう有里栖に聞いてみた。すると有里栖は

「うん、私は大丈夫かな。」

少し、ぎこちなく返事が返ってくる。前に言っていた少し前の出来事を思い出すことへの違和感があるのだろうか。

その後、杉並から

「ミスコンでの鷺澤の結果もあって、不可侵の条約が前よりも強くなったみたいだな」

そう伝えられた。

俺は今年一年の活動が有里栖への好意についても主であったため一安心した。

その後も反省会は続いていく。こういった会議をする場合はリーダーとしてもう少し話を回さなければならないのだろうが、SSRのメンバーが変わり者でも優秀な人材が多いため回っているということを、本校に入りそういった会議をする授業も増えたことにより実感していた。

そんなことを考えながら、話を進めて行くと議題も出尽くしたらしく、反省会は終了となった。

俺は今日一日中考えていたことを皆に聞いてみることにする。

「今日はありがとう。恋パとは関係無いんだけど少し俺の話を聞いてくれないか。」

俺がそう聞くと、何やら皆ニコニコと微笑んでいる。俺はそのことにたじろいでいると杉並から

「何か話したいことがあるのだろ同士よ」

と催促されてしまう。

「来月二乃が帰ってくるんだ」

俺はまずそう口にした。

そうすると何やら皆うなずいている。

「いや、驚くなり、祝うなりして欲しいんだけど」

俺はついそう言ってしまう。

まず、有里栖が

「いや、わかってし」

そんなことを言う。

俺は返して

「二乃に聞いていたのか?」

そう聞くと、有里栖は

「というか…」

とぎこちなく、答える。続けて、白河が

「そういうことじゃ無くて、常坂兄はわかりやすいんですよ」

そう、言われてしまう。

俺は「いやいやそんなことは」

と言う。

「いえ、常坂さんはわかりやすいです」

と詩名にも言われてしまう。

皆一様にうなずいており

叶方には「授業中にあんなに考えこんでたら普通わかるだろ」

ちょこからは「私は昼休み廊下で見かけただけですけど、すぐにわかりましたし」

などと追撃されてしまう。

その後、うなずいていたそら姉に

「ところで二乃ちゃんが帰ってくることはみんないっちゃんの反応からわかってたみたいだけど、話したいことてそれだけだったの?」

と聞かれる。

俺は自分が一日中妹(彼女)のことを考えていたということがバレていたという現実に打ち拉がれていたが、そら姉の一言で正気に戻ることが出来た。

俺は少したじろぎながら

「二乃が帰ってくるのをみんなで祝えないかな?て思ってさ」

それを聞きそれぞれ少し思案しているようだった。なので、続けて俺は

「恋パが終わってすぐに俺の私情に巻き込むのは申し訳ないんだけど…」

と付け加える。

そうすると、白河が

「いえ、常坂妹も我々の仲間ですし、帰ってくることを祝うのは問題ないのですが、常坂兄とは恋人なのですから、水要らずの方がと思いまして。」と返す。

「そっちに関しては有里栖に頼もうと思ってて」

俺がそう返すと、皆納得し俺の提案を受け入れてくれた。

しかし、等の有里栖本人が少し事態を理解していないような顔をしている。

俺はその顔を見て「有里栖、一年前みたいにワンダーランドでバイトできるか頼みたいんだけど」と尋ねる。

有里栖は少し考えた後、理解しくれたようで

「こちらこそ1周年記念イベントをやってて、いろいろ忙しいからお願いしたいくらいだよ」

と答えてくれる。

何はともあれ、二乃が帰ってくる1ヶ月後まで、まだまだ忙しくなりそうだ。

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第0章 新しい春 第5話 二乃の帰宅 3月15日 それからの1ヶ月、俺は二乃の帰りを祝う準備やバイトだけでなく、卒業式での依頼も入ったため大変忙しく過ごした。 そして、ついにこの日がやって来た。 終業式も終わり仲間達に後を託した、俺は二乃を...
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